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物件選び

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お店作りの第一歩、不動産物件選びについて。
家賃や近隣の状況、施主様の第一印象など様々な要素が絡む物件選びですが、ここでは工事の観点から解説していきます。

物件の現状により初期費用は大きく変わる

意外と皆様物件賃借後の工事についてあまり深くお考えにならず物件選びをされている場合が多いです。物件の現況により工事に掛かる金額も期間も大きく異なってきます。それらを事前に把握せず、外観と大きさ、周囲の状況のみで目星を付け開店までの資金繰り、スケジュール組まで突っ走り、いざ実際の工事検討の段階で大きく軌道修正を余儀なくされるお客様もいらっしゃいます。
もちろん人通りがまるでなかったり、アクセスが著しく悪いなどマイナス面が大きくても直感的なもので一目ぼれするような物件もあるかと思いますが、まず物件を選定される初期段階で最低限ある程度理想とする店舗像、運営スタイル、物件賃貸に掛かる初期費用(保証金、前家賃、仲介料)、その他イニシャルコスト(家具代、施術機械代、開店から数か月間程度の店舗運営費など)、想定される工事費・期間など、トータルで事業計画をしっかり立てることが必須となります。まずは突っ走る!と言うお考えも時には良いですが、できるだけ開業、店舗移転、改装などに必要となる知識をある程度は予め頭に入れ、または専門家に相談しながら、その上で計画を一つずつ進めて行くとが重要です。

ここでは様々な検討要件の中から工事に関わる物件選びについて解説します。
不動産物件様々ございますが、大きく分けて以下の5つのタイプに分けられます。
※工事費用・工期についてはあくまで目安です。物件の状況により逆になることもございます。

居抜き物件


実際に直近まで営業していた、または営業中の店舗を中の造作物そのままに譲り受ける物件です。
店舗の状況、譲渡者の状況により造作物買取と言う形で初期に掛かった工事費の何割かの負担を要求されることもありますが、譲渡者も本来原状回復して出て行かなればならないところをその分の負担が無くなりますので、綺麗な物件でも意外なほど安く譲渡買取できる場合もございます。
ただそんなに都合よく見つかる訳もなく、ある程度長い目で根気強く待つ必要があります。あくまで縁があればと言う、言い換えれば計算の付かない不確定要素の高い物件です。
通常は内部の造作そのまま使い、クロスや床材などの表装工事と看板の付け替えだけで営業される方が多く、状態によっては内部はクリーニング程度でそのまま使用する方もいます。
ただ難点としては既に出来上がっている分、レイアウトの自由度は殆どありません。クロスや床の色柄を変えて特徴を出すぐらいなので、ご自身で理想とする店舗形態を確立されている方にとってはあまり魅力的な物件では無いかも知れません。

内装仕上り済み物件

リフォーム済みで、物件内部に余計な間仕切や構築物も無く、机でも置いたらそのまま事務所として使えるような物件です。
既設の照明、空調機器、壁天井、床材をそのまま使用し、店舗のスタイルに応じた壁やカーテンの設置のみで開業することもできます。現状が気に入らなければクロスや床材を張り替えてもいいですし、レイアウトの自由度も高く、工事に掛ける金額選択の幅も多い、バランスのとれた物件です。
因みに退去時には原状回復で同じような内装にして返却しなければならないのが一般的です。

表装除く下地有り物件


壁がボード打ちっ放しだったり、壁床天井の表装材が著しく毀損したり汚れているが、それら表装材のみ施工すれば内装仕上り済み物件と同じになる物件です。リフォーム済みでない分、保証金や家賃が安く抑えられる場合もあり、自身で表装をやり替えることから内装仕上り済み物件より多少自由度も高く、退去時の原状回復もある程度まででOKなことも多く、色々お得な場合もある物件です。
但し中途半端に下地が毀損されていたり、照明やトイレなどの設備機器が撤去されていたり、現状によってはかなりの費用増になる場合もあります。

スケルトン物件

壁床天井の下地が何もなく、建物躯体そのままの物件です。建物内部に入る為のフロントサッシはある物件と無い物件があり、ある方が工事費は安く済みますが、そのフロントサッシのデザイン自体が気に入らなかったり、ボロボロだったりで交換する場合は余計費用が掛かります。
全て一から作り上げていく為、レイアウトの自由度と言う点では圧倒的に高いです。その反面当然ながら上記の「表装除く下地あり物件」に於けるスタート地点の状態にするまでに数十~数百万円かかってしまうことから、工事に掛かる費用はかなりの高額になります。また、スケルトン物件は基本的に退去時同じようにスケルトン状態に戻して退去する必要があります。

スケルトン返しの例

15坪程度の店舗を完全スケルトンに原状回復した例です。
床壁天井下地、フロントサッシ・看板含むその他構築物全撤去、残置物(ゴミ)撤去など全て含め上記の例で約80万円程度費用が掛かりました。
物件により異なるので一概には言えませんが、概ね50~150万円程度掛かります。

中途半端な現状渡し

稀にあるのが、夜逃げ同然に出て行った後の、大家さんも費用面などの問題から現状に戻せずそのまま放置されている物件です。状況によっては内部のゴミ処分程度で済んだりする場合もありますが、酷いものですとゴミ処分+ほぼスケルトン状態まで解体撤去してからでないと下地工事すらできないような場合も多々あります。
メリットとしてはスケルトン同様、レイアウトの自由が高い点、現状が現状なので家賃や保証金が格安だったり、退去時の原状回復の条件が緩い場合があります。

上記のように、物件の状況により工事費・工期は大きく変わってきます。また、退去時の費用も状況により異なってきます。家賃、保証金、想定される工事費全てを総合的に勘案し、判断することが物件選びの前提となります。ぱっと見の第一印象も非常に大切な要素ですが、開業後の安定した運営の為にも、迅速かつ慎重に、大胆かつ将来を見据えて物件選びを進めて下さい。


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